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フィリピン不動産の価格相場は?エリア別・物件別に徹底解説!

フィリピン不動産の価格相場は?エリア別・物件別に徹底解説!

「次の成長国に投資したい」「将来性ある市場で不動産を所有したい」

そう考える富裕層や投資家たちの間で、今注目を集めているのがフィリピン不動産です。
首都マニラを中心に都市開発が進み、外資系企業の進出や中間所得層の増加により、住宅需要は年々拡大中。さらに、フィリピンはASEAN諸国の中でも高い経済成長率と人口ボーナスを誇り、今後10〜20年単位での継続的な成長が期待されています

しかし一方で、「実際いくらくらいで買えるのか?」「日本と同じように進めていいのか?」「本当に儲かるのか?」といった疑問を抱く方も少なくありません。特に、土地の所有制限や税制、管理体制など、国内不動産とは異なる点が多く、事前のリサーチと理解が不可欠です。

本記事では、フィリピン不動産の価格相場を「物件タイプ別」「エリア別」に詳しく解説し、さらに購入時にかかる費用や、投資判断に役立つメリット・デメリット、注目エリアまでを網羅的にご紹介します。
資産運用・相続対策・海外移住の選択肢としても有効な「フィリピン不動産」の真価を、ぜひ本記事でご確認ください。

目次

1. なぜ今、フィリピン不動産が注目されるのか

今、世界中の投資家たちが熱い視線を送る不動産市場――それがフィリピンです。かつて「新興国」と呼ばれていたこの国は、今やASEAN(東南アジア諸国連合)内でも急成長を遂げる経済圏として存在感を増しています

注目すべきは、年平均6%前後の安定した経済成長率(※世界銀行調べ)と、1億2,000万人を超える人口規模。そのうちの約6割が30歳未満という“人口ボーナス期”の真っただ中にあり、国内の消費需要と都市化が一気に加速しています。

このような背景を受けて、都市部では再開発が進み、マニラ首都圏やボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)などでは高層コンドミニアムや複合商業施設の開発が相次いでいます。その勢いは「東南アジア版ドバイ」とも称されるほど。
とくに以下のような層にとって、フィリピン不動産は魅力的な選択肢となっています。

  • 円安・インフレ下で資産の分散を考える経営者層
  • 安定的なインカムゲインを求める医師・士業層
  • 国内より高利回りを期待する海外志向の投資家

さらに、フィリピンでは外国人でもコンドミニアムの所有が可能で、一定条件下では法人名義での取得も可能です。この柔軟な制度も、他のASEAN諸国と比較した際の大きな優位点となっています。

もちろん、土地の所有が認められていない点や、法制度の不透明さといったリスクもゼロではありません。しかし、それを補って余りある高利回り(年6〜8%)、高い需要、そして将来の資産価値向上の可能性が、多くの富裕層・プロ投資家を惹きつけてやまないのです。

なぜ今、フィリピンなのか?――それは、未来の「成長」と「リターン」が、すでに動き出している市場だからです

フィリピンの年次GDP成長率(2015〜2024年)

出典:世界の経済・統計 情報サイト

このグラフからわかるように、コロナ禍で一時的に落ち込んだ2020年を除けば、フィリピン経済は一貫して5〜7%の高成長を維持しています。特に直近の2023〜2024年も回復基調が続いており、不動産投資にとって極めて有利なマクロ環境といえます。

フィリピンの人口年齢構成(2025年推定)

出典:世界の人口ピラミッド

フィリピンは30歳未満の人口が全体の5割以上を占めるという、きわめて若い国です。若年層による住宅需要の増加は今後も続く見込みであり、これが都市部の不動産価値を押し上げる要因になっています。

主要都市別の開発プロジェクト数(2025年時点)

現在、マカティやBGC、ケソン市を中心に大規模な都市再開発が進行中です。
各都市で10件以上の主要プロジェクトが進んでおり、今後数年間にわたり継続的に新規物件が供給されることが予想されます。

2. フィリピン不動産市場の全体像

近年、フィリピン不動産市場は国内外の投資家からの注目度を大きく高めています。
その背景には、経済成長・人口増加・都市インフラの進化という三位一体の成長要因が揃っていることが挙げられます。

安定した経済成長と外資流入

フィリピンはここ10年ほど、東南アジア地域で最も安定的かつ高水準の経済成長を遂げています。2015年以降の実質GDP成長率は年平均6%前後で推移しており、世界的な経済ショックの中でも着実に回復力を示してきました。

とくに、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業の拡大海外出稼ぎ労働者(OFW)からの送金が国内消費と不動産需要を下支えしています。
2024年時点でのOFW送金額は年間400億ドルを超え、住宅購入や家族向けの不動産投資に充てられる割合が高く、地方都市にも住宅需要が波及しています。

急拡大する都市開発と再開発

首都圏(NCR:National Capital Region)を中心に、都市インフラの整備と高層コンドミニアム建設が急速に進んでいます。マカティ市、ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)、オルティガスなどの都市再開発は、東京・香港レベルの都市構造に匹敵するスピードで進行しています。

加えて、地方都市でも商業施設・空港・港湾などの整備が進行中で、セブ、ダバオ、クラーク、イロイロといった地方都市が次の投資先として台頭。国土開発の分散化が始まっており、今後はマニラ一極集中から“多極型都市圏”へと移行する可能性があります。

若年層主導の住宅需要と人口構成

フィリピンは平均年齢が24〜25歳という非常に若い国です。住宅取得年齢層にあたる20〜40代の人口が圧倒的に多く、都市部では単身世帯・若年層カップル向けの中小型コンドミニアムのニーズが拡大。
これは日本や韓国など高齢化先進国とは対照的な市場構造であり、不動産の“需要そのもの”が長期的に維持されやすい環境といえます。

外国人による購入も可能(ただし条件あり)

フィリピンでは、土地そのものの所有は外国人には認められていませんが、区分所有型のコンドミニアムに限っては外国人名義で購入が可能です(全戸数の40%まで)。また、法人名義やフィリピン国籍のパートナーと共同で不動産を取得するスキームも一般的になりつつあります。

このように、法制度の制約はあるものの、「外国人フレンドリー」な不動産制度が整備されており、東南アジアの中でも比較的スムーズに投資できる国のひとつとして評価されています。

上昇傾向にある賃貸利回り

首都圏におけるネット賃貸利回りは年6〜8%台とされており、東京やバンコク、ソウルと比較しても極めて高い水準です。
特に、BGCやマカティといったグレードA物件では、国際企業の駐在員向け需要も高く、安定的な収益が見込めます。Airbnbのような短期滞在型物件への活用も一部エリアで許可されており、キャッシュフローの多様化も可能です。

補足データ

指標数値(2024年〜2025年)出典
実質GDP成長率約6.2%World Bank
人口約1億2,000万人Philippine Statistics Authority
平均年齢約25歳CIA World Factbook
外国人購入可能比率コンドミニアム総戸数の40%までフィリピン不動産法

このように、フィリピン不動産市場はマクロ経済・人口動態・都市整備・法制度の側面から見ても、極めて構造的に強い投資先といえます。

3. 価格相場の基本:物件タイプ別の価格目安

フィリピン不動産の価格は、日本と同様に「エリア」×「物件タイプ」×「築年数」で大きく異なります。特にコンドミニアムは、その立地によって1.5倍〜2倍以上の価格差が生まれることも珍しくありません。
とはいえ、初めての投資や購入を検討する際には、まず物件の種類ごとの大まかな価格帯を把握しておくことが重要です。

以下では、首都圏(マニラ首都圏)における2025年現在の平均価格帯をベースに、物件タイプ別の価格目安をわかりやすくご紹介します。

物件タイプ別の価格目安(マニラ首都圏基準)

物件タイプ面積の目安平均価格
(PHP)
日本円換算
(※1PHP=2.7円)
特徴・利用層
スタジオタイプ20〜30㎡4,000,000〜6,000,000約1,080万〜1,620万円単身者、短期投資向け
1ベッドルーム30〜50㎡6,000,000〜9,000,000約1,620万〜2,430万円若年カップル、駐在員
2ベッドルーム50〜80㎡9,000,000〜15,000,000約2,430万〜4,050万円ファミリー層、長期運用向け
3ベッドルーム以上80㎡以上15,000,000〜30,000,000約4,050万〜8,100万円富裕層、資産分散・移住層

注目ポイント

  • スタジオタイプは、賃貸投資のエントリーモデルとして人気が高く、都市中心部でも手が届きやすい価格帯です。Airbnbなど短期賃貸との相性も良好

  • 1〜2ベッドルームは、企業の駐在員や若年層カップルなど安定した入居需要があり、長期のインカムゲインを狙いたい投資家に適しています。

  • 3ベッドルーム以上の高級物件は、エリアによっては2億円近い超高額物件も存在し、海外移住や法人オーナーによる購入も増えています。

価格の決まり方:エリア・階層・設備

価格の算出は「平米単価 × 面積」で概ね決まります。
たとえば、マニラの中心地であるボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)では、1㎡あたりPHP 250,000超の高値をつける一方、ケソン市やパシグではPHP 120,000〜160,000/㎡と手頃な価格も見られます。

さらに、以下のような要因でも価格が上下します。

要因影響内容
階層(高層階)景観・ステータスで+5〜15%
向き(南向きなど)日照や通風でプレミアム価格になる
プール・ジム付き管理費上昇と引き換えに価値アップ
フィットネス・ロビーのグレード高級物件か否かの目安に

投資家向けの選び方アドバイス

  • 月々のローン支払いを10万円前後に抑えたい方は、スタジオ〜1ベッドルームが現実的。
  • 5年以上の中長期投資を見据えるなら、将来的なリセールバリューが見込める2ベッド以上がおすすめ。
  • 相続対策や海外資産の分散が目的の場合は、プレビルド(建築前物件)で段階購入も選択肢に入ります。

この価格帯はあくまで目安であり、実際にはプロジェクト単位での大きな差や、為替レート・需要状況による変動もあります。

4. 価格相場の基本:物件タイプ別の価格目安

フィリピンで不動産購入を検討する際、最初の指針となるのが「どの物件タイプに、いくら程度の予算が必要か?」という価格相場の理解です。
特に投資家や海外移住を視野に入れる富裕層にとっては、予算配分と利回り予測の基準となる価格帯の把握が極めて重要です。

本章では、首都圏(マニラ大都市圏)における代表的な物件タイプ別の価格目安を解説しながら、それぞれのターゲット層や用途、投資適性についても併せて紹介します。

代表的な物件タイプと価格レンジ(マニラ首都圏・2025年現在)

物件タイプ面積の目安平均価格
(PHP)
日本円換算
(※1PHP=2.7円)
主な対象者・用途
スタジオタイプ20〜30㎡4,000,000〜
6,000,000
約1,080万〜1,620万円単身者、短期運用投資家向け
1ベッドルーム30〜50㎡6,000,000〜
9,000,000
約1,620万〜2,430万円カップル、若年夫婦、駐在員
2ベッドルーム50〜80㎡9,000,000〜
15,000,000
約2,430万〜4,050万円ファミリー層、長期賃貸投資向け
3ベッドルーム以上80〜120㎡超15,000,000〜
30,000,000
約4,050万〜8,100万円富裕層・海外移住・法人名義購入
  • スタジオタイプ(ワンルーム)
    都市部の交通至便エリアや大学・商業圏周辺で人気。価格が安く初期投資額が低いため、「フィリピン不動産投資の第一歩」として最も選ばれやすい選択肢。Airbnbなど短期賃貸との相性も良好で、利回りも高めの傾向。

  • 1ベッドルーム
    居住性とコストのバランスに優れ、駐在員や若年層のニーズにマッチ。海外勤務者向けの社宅用途やセカンドハウスとしても注目されており、法人オーナーの取得も多い。

  • 2ベッドルーム
    ファミリーや長期滞在者に人気のタイプ。賃料も安定しやすく、中〜長期運用型の投資家にとって「主力クラス」とも言える。価格帯も日本の中堅都市圏のマンション相場と近く、親しみやすさがある。

  • 3ベッドルーム以上
    ハイエンド居住者、富裕層外国人、ファミリー移住者、法人幹部などが主な需要層。ステータス性と資産保全の側面から所有ニーズが強く、再販・賃貸のどちらでも価格優位性を保ちやすい。

平米単価の目安(ロケーションごとの参考値)

価格は単純に「面積 × 平米単価」で算出されることが多く、以下は地域別の大まかな単価相場です。

エリア平均平米単価(PHP/㎡)円換算(円/㎡)特徴
マカティ
(Makati)
約230,000約62万円高級エリア、外資系オフィス街
ボニファシオ・グローバル・シティ
(BGC)
約260,000約70万円高所得層向け新興エリア
ケソンシティ
(Quezon City)
約140,000約38万円医療・大学集積地、価格抑えめ
パシグ
(Pasig)
約120,000約32万円新興住宅地、交通利便性高

【注】日本と異なり、物件のグレードや「階数(眺望)」が価格に大きく影響します。たとえば同じBGCでも、最上階ペントハウスでは1億円超も。

価格目安に基づく戦略的な投資の考え方

  • 初期費用を抑えつつ、高回転を狙うならスタジオ〜1BR
  • 安定的な利回り+出口戦略を考慮するなら2BR
  • 資産防衛・分散・移住用には3BR+高層・好立地物件

投資目的・ライフスタイル・将来的な出口戦略をもとに、「面積」だけでなく「立地×物件タイプ×目的」の三軸で検討するのが、失敗しない購入判断の鍵となります。

5. 人気エリア別の価格相場と動向

フィリピンの不動産市場において、「どのエリアに投資するか」は価格と利回りを大きく左右する最重要ポイントです。
特に外国人購入者や投資家にとっては、都市の将来性・需要の安定性・法制度の整備状況なども含めた総合的な見極めが必要です。

この章では、特に注目度の高い主要エリアについて、価格相場・利回り・開発トレンドなどの最新動向を解説します。

マカティ(Makati):老舗のビジネス・金融中心地

  • 価格相場
    • 平米単価:PHP 220,000〜250,000
    • 1ベッドルーム価格帯:PHP 7,000,000〜9,000,000(約1,890万〜2,430万円)

  • 特徴
    • 外資系企業・大使館が集中するフィリピン随一のビジネス街
    • 交通利便性が高く、上級層の賃貸ニーズが安定
    • 日本人居住者も多く、生活インフラが整っている。

  • 市場動向
    近年はやや供給過多の懸念もあるが、中長期的には資産保全型投資先として安定感あり。中古物件でも値崩れしにくく、再販・賃貸どちらでも出口戦略が描きやすい。

BGC(Bonifacio Global City):急成長の次世代都市

  • 価格相場
    • 平米単価:PHP 250,000〜270,000
    • 1ベッドルーム価格帯:PHP 8,000,000〜11,000,000(約2,160万〜2,970万円)

  • 特徴:
    • 計画都市として開発されたフィリピン版・六本木ヒルズ
    • 商業施設、国際校、緑地が融合する高付加価値エリア。
    • 外資系企業のオフィス誘致や高所得層の居住が進行中。

  • 市場動向
    価格上昇率・需要ともに国内トップクラス。新築物件の価格は年5〜8%ペースで上昇。インカムゲイン狙いはもちろん、キャピタルゲイン(売却益)も視野に入る優良投資先

ケソンシティ(Quezon City):大学・医療機関が集積する住宅都市

  • 価格相場
    • 平米単価:PHP 120,000〜160,000
    • 1ベッドルーム価格帯:PHP 4,000,000〜6,000,000(約1,080万〜1,620万円)

  • 特徴:
    • フィリピン大学やアテネオ大学などの名門校が集中。
    • 医療施設・商業施設も多く、生活利便性が非常に高い
    • 首都圏内では比較的「手頃な価格帯」のエリア。

  • 市場動向
    中間所得層向けの住宅需要が底堅く、家族連れや学生を対象とした賃貸が安定的。大規模ショッピングモールや鉄道延伸計画もあり、今後の価格上昇余地にも期待。

セブシティ(Cebu City):南部フィリピンの観光・経済ハブ

  • 価格相場
    • 平米単価:PHP 120,000〜180,000
    • 1ベッドルーム価格帯:PHP 4,500,000〜6,500,000(約1,215万〜1,755万円)

  • 特徴
    • 海外観光客に人気のセブ島の中心都市。
    • 国際空港・港湾整備が進み、経済特区としても注目
    • 海外在住フィリピン人の帰国移住先としても高いニーズ。

  • 市場動向
    リゾート型開発が進むエリアで、短期賃貸(Airbnb)との親和性が高い。観光・移住・投資の三位一体で需要が底堅く、利回り6〜9%も狙える。

ダバオシティ(Davao City):地方都市の成長株

  • 価格相場
    • 平米単価:PHP 100,000〜140,000
    • 1ベッドルーム価格帯:PHP 3,500,000〜5,000,000(約945万〜1,350万円)

  • 特徴
    • 安全性が高く、「最も住みやすい都市」との評価も。
    • 地方都市ながら教育・行政・観光施設がバランスよく集積。
    • 日本の地方都市との姉妹都市提携もあり、親日ムードが強い。

  • 市場動向
    物件価格はマニラの半額以下にも関わらず、賃貸需要は右肩上がり将来的な値上がりを見込んだ割安投資先として注目されている。

投資エリアの選定は「戦略」で決まる

エリア特徴初心者向け利回り重視安定資産型キャピタルゲイン狙い
マカティ歴史ある金融街・オフィス集積地
BGC高所得層向け新興都市、再開発進行中
ケソン市住宅+教育+医療、生活利便性◎
セブ市観光とリゾート、地方経済の中核
ダバオ市地方都市の穴場、安全性・コスパ良し

エリア選定は投資の8割を決めるとも言われます。
物件価格だけで判断するのではなく、「その都市に誰が住むのか、誰に貸せるのか、10年後どうなるのか」という視点で、エリアの本質を見極めていくことが肝要です。

6. 不動産投資で必要な主なコスト

不動産投資において、「価格が安い」ことは大きな魅力ですが、それと同じくらい重要なのが購入・保有・運用に伴うコストの把握です。
特に海外不動産では、現地特有の税制・手数料体系・為替リスクも絡むため、日本の常識とは異なる出費が発生します。

この章では、フィリピン不動産を購入・保有・賃貸運用する上で発生する、代表的な費用項目とその目安を解説します。

購入時にかかる主なコスト

コスト項目概要内容目安額または率
登記費用
(Transfer Tax等)
所有権移転のための税金および行政手数料購入価格の約1.5〜3%
書類作成・契約書公証費用契約書のリーガライズやノータリー署名PHP 10,000〜30,000程度
仲介手数料
(Broker Fee)
通常は売主側負担だが、条件により買主負担となる場合もある売買価格の3〜5%
(売主負担が主流)
予約金
(Reservation Fee)
契約前に支払う確約金
(契約成立時に本体価格に充当される)
PHP 50,000〜200,000
印紙税
(Documentary Stamp Tax)
書類に課される税金売買価格の1.5%

これらのコストは新築(プレビルド)か中古か、または法人名義か個人名義かによって若干変動します。

保有中にかかるランニングコスト

コスト項目概要説明目安・料金体系
固定資産税
(Real Property Tax)
年に1回支払う市税不動産評価額の0.5〜2%
管理費
(HOA dues)
コンドミニアムの共用部管理費(24時間警備・清掃・プール等)PHP 100〜200/㎡/月
修繕積立金エレベーター・建物構造物の長期修繕基金PHP 300〜500/㎡(初期一括払い)

高級物件ほど設備が充実しており、その分月々の管理費も高くなる傾向があります。
投資利回りを試算する際は、賃料から管理費・税金を差し引いたネット利回りを必ず確認しましょう

賃貸運用時にかかるコスト

コスト項目内容相場または形式
賃貸管理委託費
(Property Management)
空室管理・入居者対応・修繕対応などを委託する費用家賃の10〜15%程度
リーシングフィー入居者を新たに募集する際の手数料1ヶ月分の家賃(成功報酬型)
家具・家電の初期設置費家具付き賃貸とする場合は内装費が別途必要PHP 100,000〜250,000程度
Airbnbライセンス申請料短期賃貸運用の場合、必要な市区町村許可費用エリア・物件により異なる

賃貸管理を現地業者に委託するかどうかは、海外投資における利便性とリスク管理に大きく影響します。
日本語対応の管理会社を選ぶことも安心材料のひとつです。

為替コスト・送金手数料

日本からの送金や、現地通貨での家賃収入の換金においてもコストは発生します。

費用内容概要目安
為替差損リスク円高/円安により資産評価額が変動1〜10%程度の変動可能性あり
国際送金手数料購入代金や賃料の送金に必要な銀行手数料1回あたり3,000〜8,000円程度

実際のシミュレーション例

例:BGCの1ベッドルーム物件(PHP 9,000,000)を購入する場合

項目概算費用
登記・税金類(約4%)PHP 360,000
管理費(年間)PHP 90,000〜120,000
固定資産税(1.5%)PHP 135,000
家具設置費PHP 200,000(任意)
合計(初期+年間)PHP 約785,000〜815,000

コストは“利回り”と“出口”に直結する

フィリピン不動産の魅力は、比較的低い取得価格と高い賃貸利回りにありますが、コスト構造を正しく把握しなければ期待通りの投資成果は得られません。物件価格に加え、

  • 「購入時の一時費用」
  • 「保有中の固定費」
  • 「賃貸運用に伴う可変費用」

をトータルで算出し、ネット利回り(Net Yield)ベースでの投資判断を行うことが成功の鍵です。

7. 購入プロセスと注意点

フィリピン不動産の購入は、日本国内の不動産取引と比べてスピード感があり、柔軟性が高い反面、法制度や商慣習の違いから注意すべきポイントも多く存在します
成功する投資のためには、正確な流れの把握と、信頼できるパートナー選びが欠かせません。

この章では、外国人が実際に物件を購入する際の一般的なステップと注意点を、わかりやすく整理してご紹介します。

① 物件の選定・現地視察(またはオンライン内見)

まずは、信頼できる日系または英語対応のブローカー(ライセンス登録済み)を通じて、自身の投資目的や予算に合った物件を選定します。

  • 現地訪問が難しい場合は?
    • 多くのディベロッパーがバーチャルツアーや360度内見サービスを提供
    • 建設中の物件も、モデルユニットの動画閲覧やVR内覧が可能

物件の所在エリア・開発会社・過去の施工実績なども調査対象にしましょう。

② 予約金(Reservation Fee)の支払い

購入意思を示すために、まず「予約金(Reservation Fee)」を支払います。
これは後の物件価格に充当され、通常は返金不可の前提です。

  • 金額の目安:PHP 50,000〜200,000(日本円で約13〜54万円)
  • 支払い方法:クレジットカードや国際送金(ディベロッパー指定口座)

支払い前に「Reservation Agreement(予約契約書)」の内容を必ず確認。

③ 売買契約(Contract to Sell)締結

予約後、開発会社もしくは売主より「Contract to Sell(売買契約書)」が発行されます。

  • 必要書類:パスポートのコピー、TIN番号(納税者識別番号)
  • 支払プラン:一括払い/分割払い(期間・利率・支払スケジュール)

契約書は英語表記が基本。日本語訳付きサポートを行う仲介業者を選ぶのが安全。

④ 支払いと引き渡し

  • 新築(Pre-selling)の場合
    • 建設期間中は月々支払い、完成時に残金一括払いというスキームが主流
    • 完成後に「Turnover(引き渡し)」が行われ、物件が自分の手に渡る

  • 中古・完成物件の場合
    • 契約後すぐに一括清算、または分割支払い後に登記・引き渡し

支払いはドル建て・ペソ建てが選べる場合も。為替変動の影響に注意。

⑤ 所有権移転・登記(Title Transfer)

登記申請にはフィリピンのRegister of Deeds(登記所)での手続きが必要となり、通常は専門の登記代行業者が行います。

  • 所有権証書:Condominium Certificate of Title(CCT)
  • 登録費用:物件価格の1.5〜3%程度

外国人は土地所有ができないため、コンドミニアム購入に限られる(総戸数の40%まで)。

注意点:購入前に必ずチェックしたい5つのポイント

  • 外国人名義での購入可否の確認
    コンドミニアム以外(土地付き戸建てなど)は原則NG

  • 開発会社(ディベロッパー)の信用力
    過去の引き渡し遅延・倒産リスクがないかチェック

  • 税・手数料を含めた総額試算
    表示価格に含まれていない「隠れコスト」に注意

  • 支払プランと金利条件
    分割払いに金利がかかるケースでは年利6〜10%が相場

  • 管理・運用体制の確認
    管理会社の実績や、将来の修繕対応を見込んでおくこと

専門家を味方につけることが成功のカギ

海外不動産は言語・法律・文化の違いがあるため、「自己完結しようとせず、プロを巻き込む」ことが鉄則です。
とくに以下のようなサポートを受けられる体制があると安心です。

  • 日本語対応可能なブローカー・法務事務所
  • 税務・登記に詳しい現地の提携専門家
  • アフターサポート・賃貸管理を一貫提供する業者

8. おすすめのエリア・物件タイプ

フィリピン不動産市場は、エリアによって価格帯も利回りも大きく異なるため、投資目的・運用方針・将来設計に応じて、最適な「場所」と「物件タイプ」を戦略的に選ぶことが成功のカギです。

この章では、あなたの投資スタイルに合わせた具体的なエリアと物件タイプの組み合わせを、以下の3カテゴリ別にご提案します。

初心者・初回投資向け:リスク分散重視型

推奨エリア:ケソンシティ(Quezon City)、マンダルーヨン(Mandaluyong)
推奨物件タイプ:スタジオ~1ベッドルーム(30㎡未満)

特徴内容
購入価格PHP 4,000,000〜6,000,000(約1,080万〜1,620万円)
利回り目安ネット5〜7%程度
メリット価格が手頃で空室リスクが低く、賃貸需要が安定。初回投資に適している。
注意点物件グレードや立地の見極めが必要。管理品質にバラつきがある場合も。

ケソンは大学や病院が多く、学生・医療従事者・地元住民向けの賃貸需要が強固。
将来の価格上昇は緩やかだが、賃料収入で回収する“安定型運用”に向いています

中上級者向け:資産成長&利回り重視型

推奨エリア:BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)、オルティガス(Ortigas)
推奨物件タイプ:1〜2ベッドルーム(40〜70㎡)

特徴内容
購入価格PHP 7,000,000〜15,000,000(約1,890万〜4,050万円)
利回り目安ネット6〜8%+キャピタルゲイン
メリット外資系駐在員や富裕層向けの高需要。値上がりも見込める攻守バランス型。
注意点初期費用や管理コストはやや高め。購入タイミングと為替に留意。

BGCは「東南アジアの次世代都市」として開発され、今なお価格上昇中。賃貸にも売却にも強く、法人契約の入居者も見込めます。
中長期での資産形成を視野に入れた“成長型投資”に最適

富裕層・移住志向者向け:プレミアム資産分散型

推奨エリア:マカティ(Makati)、セブシティ(Cebu)、ダバオ(Davao)
推奨物件タイプ:2ベッド以上・ペントハウス・高層階ユニット(80㎡以上)

特徴内容
購入価格PHP 15,000,000〜30,000,000(約4,050万〜8,100万円)
利回り目安ネット5〜6%+高資産価値維持
メリット高級住宅としての希少性・ブランド力があり、資産防衛や相続対策にも有効
注意点流動性はやや低く、保有期間を長めに設定する必要あり

マカティやセブの一等地における3LDK以上の物件は、自らのセカンドハウス用途にも適しており、プライベート資産としての安定感が抜群です。
円安局面では為替ヘッジとしての機能も期待できます。

投資目的別・おすすめマトリクス

投資目的最適エリア物件タイプ推奨
安定収入を得たいケソン、マンダルーヨンスタジオ〜1BR★★★★☆
値上がり益も狙いたいBGC、オルティガス1〜2BR★★★★★
海外資産を分散したいマカティ、セブ、ダバオ2BR〜ペントハウス★★★★★
セカンドハウスも兼用セブ、BGC2BR〜3BR★★★★☆
短期運用で回転させたいマニラ湾沿い、観光地周辺スタジオタイプ★★★☆☆

不動産投資における最大の盲点は、「出口戦略」の見落としです。
どれだけ利回りが良くても、売れなければキャピタルゲインは実現しません

  • 再販しやすいのは? ⇒ BGC・マカティの駅近・高層物件
  • 高利回りを得たいなら? ⇒ セブやケソンの築浅スタジオ
  • 所有し続けてもいい物件は? ⇒ プレミアム仕様のペントハウス

このように、投資の目的・想定保有期間・最終出口の形を明確にした上で、最適なエリアと物件を選定するのが成功の近道です。

まとめ:価格目安から購入の判断材料まで

ここまで、フィリピン不動産の価格相場を中心に、物件タイプ別・エリア別の相場観、投資コスト、購入の流れ、そしておすすめのエリアと物件について詳しく解説してきました。
重要なのは、「安いから買う」「人気があるから買う」ではなく、投資目的・資産背景・ライフスタイルに応じて、自分にとっての“最適解”を見極めることです。

最後に──不動産投資は「立地」と「構造」と「未来」で選ぶ
フィリピン不動産は、ASEAN諸国の中でも外貨流入・経済成長・人口増加・都市開発の全てが揃った希少なマーケットです。価格の優位性に加え、高利回り(6〜8%)・値上がり益・相続対策・分散投資と、現代の富裕層にとって必要な“複数の出口戦略”を提供してくれます。

ただし、日本と異なる法制度・商習慣・管理環境であることは確かであり、「情報収集不足」「パートナー選びの失敗」「安さだけで判断」などのリスクも存在します。
だからこそ、今回の記事を通じて得られた知識と視点をベースに、自らが納得できる基準と目的意識を持って判断することが、長期的に成功するフィリピン不動産投資の第一歩なのです。

「資産を増やす」から「資産を守る」へ。
その視点で、今のフィリピン不動産市場を捉えたとき、見えてくるのは“価格”だけではなく、“戦略的な選択肢”としての価値です。

参考

World Bank Philippines Overview

Philippine Statistics Authority

Lamudi Philippines Real Estate Market Report

Colliers Philippines Quarterly Reports

Bangko Sentral ng Pilipinas(中央銀行)

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Asset Oceanが根本的に解決を目指す課題は、海外不動産投資のハードルを下げ、市場を活性化させることです。

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