海外不動産投資はカンボジアがおすすめ!税金や法律に関する基礎知識
しかし海外不動産投資に興味はあるけど、カンボジアについてはあまり知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、カンボジア不動産投資のメリットとデメリット、リスク、カンボジアで不動産を購入する際の税金などについて解説します。
これからカンボジアの不動産投資を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. カンボジア不動産の相場
カンボジアについてよく知らないという方いらっしゃるかと思いますので、まずはカンボジアの不動産市場について説明します。
(1) カンボジアの不動産価格
カンボジアでは2011年に外国人に不動産投資が開放されたので、東南アジアの他の国より不動産価格が比較的安く、日本と比較してもかなり安いです。
下記の図1はCBREによる、カンボジアのコンドミニアム販売価格推移のデータです。
図1:コンドミニアムの平米あたり販売価格推移
(出展元URL:https://images.cbre.com.kh/2021/07/2021-Mid-Year-Review_Final-Presentation.pdf)
上記データを見て頂ければわかりますが、カンボジアのハイエンドなコンドミニアムでも、1㎡あたり3,000米ドル前後です。日本の2LDKの平均的な広さ50㎡の部屋だと150,000米ドルで購入することができます。
もちろん立地にもよりますが、たとえば日本で数億円のコンドミニアムでも、カンボジアでは物件によっては2,000万円から購入することができる物件もあります。
(2) 不動産価格の推移
下記の図2でプノンペンの地価の推移も見てみましょう。
図2:プノンペン地区の地価推移
(出展元URL:https://construction-property.com/cbre-land-prices-remain-stable-in-q2-2020-despite-fewer-transactions/)
2010年からプノンペンのどのエリアも地価が2倍以上に値上がりしており、特に地価の高い3つのエリアについては、1平方メートルあたり平均5,000〜6,000米ドルになっています。
その背景はカンボジアの首都プノンペンでは、外国からの資本流入により不動産の需要が増え、地価が高騰してきているからです。
ほかにカンボジアへの入国者数の増加や、外国企業の参入増加なども地価高騰の原因として挙げられます。
(3) コロナの影響
世界の経済に大きな影響をもたらしたコロナは、カンボジアにはどのような影響があったのでしょうか。IMFが2021年10月に算出したカンボジアの経済成長率の推移データを見てみましょう。
図3:カンボジアの経済成長率推移
(出展元URL:https://www.imf.org/en/Countries/KHM)
2020年は経済成長率がマイナスになっているので、カンボジアでもコロナの影響があったことがわかります。
上記図1でみたように、2021年のコンドミニアムの平米あたり販売価格はどのレンジでも下落しています。
これにはコロナの影響により、外国人投資家や駐在員が現地へ訪れることができないことが原因のひとつにあります。
しかし、2021年10月18日より外国人のカンボジアへの入国措置が「隔離期間:3日間(ただし,2回目のワクチン接種が完了していない場合は14日間)」と変更され、隔離期間が短くなりました。
“カンボジア国内に,自身の渡航に関して保証または招待する合法的に登記されている企業等があり,それら企業等を通じてカンボジア政府から保証や招待に関する証明書を事前に取得した方【新しい入国制限措置】”
つまり、2021年からは政府の支援や外国需要の回復が見込まれるので、また成長に戻るという予測ができています。よって、一時的に経済成長率は下がったものの、これからは成長率が戻ることを期待できるでしょう。
2. カンボジア不動産投資のメリット
続きまして、カンボジア不動産投資の3つのメリットをご紹介します。
(1) 成長する可能性が高い
経済成長が著しいカンボジアでは、人口の増加、外国資本の流入により、今後より成長する可能性が高いといえます。
上記1−(3)で述べたように、カンボジアの経済成長率は2010年から上がり続け、コロナの影響を除けば近年では約「7%」で推移しています。
また、外国からの駐在員が集まってくることで、不動産の家賃設定が高騰しています。
つまり、外国から流入している資本のほとんどが不動産投資であり、今後も成長する可能性の高い分野だと言えます。
(2) 米ドル建てで投資できる
カンボジアには法定通貨としてリエルがありますが、実質米ドルが流通しているため、米ドル建てで投資ができます。
そのため運用益や売却益を米ドルでそのまま持てるメリットがあります。
周辺の東南アジア諸外国では自国通貨建ての投資が主流なので、カンボジアは国際通貨である米ドルで投資できるメリットは大きいと言えます。
(3) 非居住者の銀行口座開設が簡単でしかも金利が高い
カンボジアでは非居住者でも銀行口座を開設することができます。
さらに日本と比較すると金利が高く、定期預金で約「5%」の金利がつく銀行もあります。
そのため不動産投資を始めるときに銀行口座を開設して、家賃収入を定期預金で運営する方法がおすすめです。
東南アジアの周辺諸国では非居住者には口座開設ができない国がほとんどの中、カンボジアは不動産投資をしながらも定期預金にて金利を得られるというメリットは大きいと言えるでしょう。
3. カンボジア不動産投資のデメリット
一方、カンボジア不動産投資にはデメリットもあります。大きく下記の3つを挙げられます。
(1) 不動産の種類が限られている
カンボジアでは外国人が所有できる不動産の種類が限られています。
外国人が所有できるのは、集合住宅の2階以上で全床面積の70% 以下であることが条件です。よって、土地などの投資はできないのです。
(2) 外国人は土地購入ができない
カンボジアでは外国人が土地の所有をすることが禁止されています。
これは東南アジアの周辺諸国についても同様で、外国人が土地を購入することができる唯一の東南アジアの国は、今のところマレーシアのみとなっています。
(3) 空室になる可能性がある
カンボジアでの不動産投資の一般的なモデルは、高級コンドミニアムを購入して外国人の駐在員や現地の富裕層に貸し付けることで利回りを得るという方法です。
しかし不動産投資用の物件が次々と建設されているのに対して、外国人の駐在員や現地の富裕層は限られた人数しかいません。
そのため高級コンドミニアムに住むことのできる一部の人口に対して、物件が供給過多になってしまうという可能性も少なからずあるといえます。
よって、物件の立地、賃貸ニーズがあるのかどうかは事前にきちんと調べておくことが重要です。また、物件によって家賃保証のような投資案件もありますので、複数の物件を比較してみるといいでしょう。
4. カンボジア不動産投資のリスク
日本の不動産市場と大きく異なる点も多くあるため、カンボジア不動産投資で成功するにはリスクについてもきちんと把握しておくことが重要です。カンボジア不動産投資のリスクは大きく下記の3つです。
(1) プレビルドで施工中止になる可能性がある
カンボジアで販売されている投資用不動産物件の多くがプレビルドです。
プレビルドとは建設中の不動産物件で、工事の進捗度合いに対して、都度支払いを行うというものです。
一見、初期投資が抑えられ、値上がりの可能性も高いと魅力的にいわれているプレビルドですが、物件の開発事業者の経営悪化などで工事が中断するケースがあります。
カンボジアの不動産市場はまだ法整備が整っていない面があるので、工事が中断された場合に物件に対して支払った頭金が途中金が戻ってこない可能性が考えられます。
そのためプレビルドへの投資はリスクが高く、プレビルドを購入する場合は信頼のおける開発事業物を選ぶことが非常に重要になるでしょう。
(2) 今後規制や法制度が変わる可能性がある
成長過程にあるカンボジアですが、未だ政治的には不安定な面もあります。
そのため今後、政策や法律が変わることよって投資した不動産の価値が変動する可能性があります。投資される場合は認識しておく必要があります。
(3) 物件の所有権登記の制度が整っていない
カンボジアでは過去の内戦時代、不動産の所有権を含む法律関係の書類が一斉に処分された経緯があります。
そのため1979年以前の不動産の所有権が無効になっています。
現在のカンボジアの不動産登記制度については下記のようになっています。
“カンボジアの不動産の権利証には、通称ハードタイトルとソフトタイトル(区分建物所有権証明書)と呼ばれるものがある。ハードタイトルは、記載されている権利が国土整備・都市化・建設省の管轄下にある登記所に正式に登記されている権利であることを示す。”
一方ソフトタイトルは不動産の所有権の証明ではなく、不動産の売買が行われたことの証明とされています。
そのためソフトタイトルの証明を所有しているだけでは、法律的には不動産の所有権を得たことにはなりません。
カンボジアで不動産を購入する際はハードタイトルの登記証明を入手することが重要だという点を念頭に置いておきましょう。
5. カンボジア不動産の種類
カンボジアではどんな物件に投資できるのでしょうか。
(1) アパートやコンドミニアム
カンボジアで外国人が所有できる不動産については、以下のように法律で決められています。
“アパートやコンドミニアムなど、集合住宅の2階以上の上層階部分(地上階および地下階を除く)については、外国企業または個人の所有が認められている。”
つまり、カンボジアでは土地の購入ができず、アパートやコンドミニアムに限定されてしまいます。
(2) プレビルドホテル・オフィス
建設途中の物件に対して都度支払うプレビルドですが、住居用のコンドミニアムだけでなく外国人向けのホテルや外国企業向けのオフィスなども増加傾向にあります。
競合が増え空室になる可能性が高いコンドミニアムより、ホテル・オフィスを投資するのも一つの選択肢として挙げられるでしょう。
6. カンボジア不動産を購入した時の税金は?知っておきたい法律知識について
最後にカンボジアで不動産を購入する際の税金制度についてご説明します。
(1) 資産譲渡税
物件を購入する際の資産譲渡税については、物件の評価額か実際に購入した額のどちらか高い方の「4%」になります。
購入時の資産譲渡税を支払うことにより登記することができるため、原則物件の買主が負担することになっています。
物件を売却する際の資産譲渡税については、物件の評価額の4%になります。
物件の開発事業者が分譲する場合は、原則買主が負担するのが一般的ですが、転売をする際は売主が負担するケースもあります。
(2) 固定資産税
不動産を所有していると課税される固定資産税は、25,000米ドル以上の不動産が対象になっています。
固定資産税は不動産評価額の80%に税率0.1%が課税されます。
(3) 源泉税
不動産を所有することにより発生する収入に対して、居住者は毎月10%、非居住者は毎月14%が課税されます。
7. まとめ
今回はカンボジア不動産投資のメリットとデメリット、リスク、カンボジアで不動産を購入する際の税金などについて解説しました。
カンボジアの不動産投資は経済成長率や人口の増加、外国資本の流入により今後も成長する可能性があるといえるでしょう。
また米ドルでの投資や高い金利での定期預金が可能な点など、不動産投資以外でのメリットもあります。
しかし投資したプレビルドが中断になったり、国の法制度が変化する可能性があったりなどリスクも少なからず存在するという点を考慮に入れる必要があります。
メリット・デメリットを理解したうえで、カンボジアでの不動産投資を検討してみてください。
【参照サイト】
・PHNOM PENH 2021 MID-YEAR REVIEW(CBRE research)
・カンボジアの不動産関連情報 | 海外建設・不動産市場データベース(国土交通省公式サイト)
・取引が少ないにもかかわらず2020年第2四半期の地価は安定している(CBRE記事)
・2021年11月第4条理事会協議によるカンボジアに関するレポート(IMF公式サイト)
・カンボジア入国時における措置(在カンボジア日本国大使館公式サイト)
Asset Oceanが根本的に解決を目指す課題は、海外不動産投資のハードルを下げ、市場を活性化させることです。