2026年2月28日、核開発を進めるイランに対してイスラエルとアメリカがイランを攻撃し、イランも報復として中東の湾岸諸国を主な対象とした軍事行動を展開しました。
イスラエル・アメリカとイランの大規模な軍事衝突は、UAEを含む中東周辺国の安全に大きな影響を及ぼしています。
ドバイでもイランの攻撃によって国内の施設が損傷したり、死傷者が出たりするなど市民の生活に混乱をもたらしました。
イランをめぐる情勢は未だに不透明な状況が続いていますが、今回の情勢はドバイ不動産にどのような影響を与えるのでしょうか。
今回は、イラン情勢がドバイ不動産市場に与えた影響や、今後の動向がどのように予想されるかについて詳しく解説します。
不動産投資家がドバイ不動産を買うべきかどうかを見極めるためのポイントなどもご説明しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
イランとイスラエル・アメリカが軍事衝突に至った背景
イランは1979年の革命によってそれまでの外交方針から一転して反米路線を掲げ、パレスチナの帰属問題をめぐってイスラエルを激しく非難しました。
イラン革命以来、イランとイスラエルは敵対関係にあり、イスラエルと強固な同盟関係にあるアメリカとも険悪な関係が続いています。
2002年にはイランが秘密裏に核兵器を開発していたことが発覚し、イスラエル・アメリカとの対立はより深刻なものとなりました。
2020年代からは、イラン・イスラエル間でミサイルやドローンによる応酬が続いており、特に2025年6月には「12日間戦争」といわれる大規模な軍事衝突が発生しました。
12日間戦争を契機に当事国間の緊張は極限まで高まり、同盟国であるアメリカが2026年2月28日に軍事介入をしたことで再度の大規模な衝突に至っています。
イラン情勢は長期化する見通し
イラン情勢は当初、最高指導者であったアリ・ハメネイ師らの死亡によってイラン国内の反体制派が蜂起し、現政権が早期に崩壊すると予想されていました。
イスラエル・アメリカ軍が圧倒的な軍事力でイランの軍事施設・核関連施設を破壊し、イランの降伏をもって紛争が早期に収束するとの見通しでした。
しかし、アリ・ハメネイ師の次男であるモジタバ・ハメネイ師のイランの現政権は存続しており、両者の対立は長期化することが予想されています。
イランは今なお軍事作戦を展開しており、4月4日にはイランがアメリカの戦闘機を撃墜したと報じるなど、米軍にも被害が出ている状況です。
以下の地図が示すように、石油流通の要衝地であるホルムズ海峡がイランによって事実上の封鎖状態にあるため、世界各国に影響が及んでいます。


出典:画像生成AIにて弊社が作成
本記事作成時点の4月はじめも当事国間の対立は継続しており、イラン情勢の明確な解決の糸口は見いだせていません。
石油や天然ガスの供給が不安定になることで経済活動に支障をきたし、日本でも物流・物資供給への影響や物価高の加速が懸念されています。
※4月7日、イランとアメリカおよび仲介国間で2週間の停戦協議を行うと報じられましたが直後にイスラエルがレバノンを攻撃したことで、ホルムズ海峡に関する協定は再び不透明な状況になりました。
イランとの戦闘およびホルムズ海峡の処遇は、記事作成時点での最終的な決着は不明です。
ドバイ不動産はイラン情勢で下落するのかを判断するための3つの基準
ドバイの株式指数は現在は上昇傾向にありますが、今後の情勢によっては状況が変化する可能性があります。
ここでは、ドバイ不動産市場がどう推移していくかの判断基準を3つに分けて解説します。
①短期的には価格より取引量が先に落ちる理由
ドバイ不動産市場では、戦争や地政学リスクなど安全上の問題が生じると、価格よりも取引件数に影響が出やすいです。
非常事態に際して買い手が様子見の姿勢に入り、売買が停滞するためです。
売り手も値下げを急がないため、価格はすぐには下がりません。
買い手と売り手双方の取引が鈍化するため、市場は静止状態に近づき、流動性が低下する傾向にあります。
実際には取引が減少しつつあるのに、価格が維持されていることで安全だと錯覚しがちな点に注意が必要です。
②過去の中東情勢でもドバイ不動産が暴落しにくかった背景
過去に中東情勢が悪化した際も、ドバイ不動産は急激な暴落を避けてきました。
ドバイでは政府主導で海外資本を積極的に誘致しており、市場が安定しやすいように緻密な調整が計られています。
不動産価格の安定性から、リスク分散を目的にドバイを選ぶ投資家も多く、世界情勢が不安定な状態でも資本が流入しやすい状態です。
大手デベロッパーによる供給量の調整も、不動産価格の安定性の要因と考えられます。
ドバイ不動産市場の構造的特徴が、他国よりも価格の安定性を保ちやすい大きな理由です。
③今回の事象が過去と違うとされるポイント
今回のイラン情勢では、軍事技術の進化や情報の拡散速度が過去と大きく異なると考えられます。
ドローンやミサイルによる攻撃は心理的インパクトが大きく、投資家の不安を増幅させやすい特徴があります。
ただし、ドバイは歳出の4%を軍事費に充てており、最新鋭の装備で飛来した兵器の大半を迎撃するなど、優れた防衛力を発揮しました。
ドバイは中立的立場から軍事力で他国に干渉することはほぼありませんが、軍備の拡充によって高い防衛網を敷いています。
SNSやニュースの即時的な拡散により、実態以上にリスクが大きく見える点にも注意が必要です。
SNSなどによる情報の拡散が以前よりも市場に影響を与えやすいため、実際の被害だけでなく、投資家の心理の動きも重要な判断材料になります。
ドバイ不動産の価格チャートから読み解く3つの市場サイン
ドバイの不動産指数チャートは、株式指数と概ね同じ推移をたどっています。
イラン情勢を機に指数は下降に転じ、3月中旬に底値を示したのちに、ゆるやかな上昇を示しました。
ここでは、ドバイ不動産チャートから読み取れるサインについて、3つに分けて解説します。

2026年2〜3月のドバイ株価の推移
出典:DFM「株式指数」
①不動産指数と実際の価格がズレやすい理由
ドバイの不動産市場では、公開される指数と実際の取引価格に差が生じることがあります。
公開される指数には広告価格や不動産平均値のデータが多く、個別の成約価格を正確に反映しづらいためです。
また、高額物件の取引が増えると指数が押し上げられやすい傾向もあります。
指数だけで市場を判断すると実態を正確に把握しづらく、取引件数や成約データと合わせて分析することで、より実態に近い判断が可能になります。
②過去の下落局面と現在の共通点・違い
過去にドバイ不動産が下落した主な理由は、金融危機や原油価格の下落など、外部要因による資金縮小といったものでした。
現在も軍事衝突という外部要因が存在する点は共通していますが、異なるのは資金の多様化と流入経路の増加です。
特に近年は欧州やアジアからの資金流入も増えており、資金が流入する経路の多様化によって不動産価格が崩れにくい構造になっています。
過去と現在の違いを理解することで、単純な価格の比較ではなく現状に即した判断が可能になります。
③今が「天井」かどうかを見極めるための基準
不動産市場が価格の「天井」に近づいているかどうかは、複数の指標を組み合わせて判断する必要があります。
特に重要なのは、取引件数の減少・海外資金の流入の鈍化・新規に供給される物件の増加の3点です。
上記の3点が同時に起こると需給バランスが崩れ、価格調整の可能性が高まります。
逆に、不動産価格が上昇していても取引量が減っている場合は、チャートと実際の取引が乖離している可能性があるので注意が必要です。
見た目の価格ではなく、市場全体の動きを把握することが重要です。
まとめ
イランとイスラエル・アメリカは、外交方針の転換やイランの核開発などをめぐって対立を続けてきました。
今回の軍事衝突は長期化が予想されており、イランの報復としてドバイを含む周辺地域にも攻撃が加えられています。
ドバイの株価や不動産指数はイランの攻撃直後は下落したものの、現在は以前の水準に回復しつつあります。
ドバイ市中にも当初は混乱がみられましたが、イランの攻撃による被害は軽微で、住民や観光客は比較的落ち着いた状況です。
ドバイは外資の流入や堅実な金融政策によって不動産市場の安定性が高く、現在のドバイ不動産市場も決して投資を避けるべき状態ではありません。
ただし、今後の動向によっては不動産価格が変動する可能性があるため、現地パートナーからの情報収集は必須です。
Asset Oceanが根本的に解決を目指す課題は、海外不動産投資のハードルを下げ、市場を活性化させることです。


