近年、「ドバイ移住」という言葉を耳にする機会が急速に増えています。かつては観光都市や富裕層の投資先というイメージが強かったドバイですが、現在では実際に生活の拠点として選ばれる都市へと大きく変化しています。その背景には、世界的なインフレや増税、治安悪化への懸念、そして働き方の多様化があります。
特に注目されているのが、所得税・住民税が実質ゼロという税制、世界トップクラスの治安、そして国を挙げて進められている経済成長戦略です。
ドバイは石油依存から脱却し、観光業・不動産業・金融・ITなど多角的な産業構造を築くことで、世界中の企業家や投資家、専門職を惹きつけています。その結果、人口の約9割を外国人が占める国際都市となりました。
一方で、「物価が高いのでは?」「本当に生活できるのか?」「ビザや年収の条件は厳しいのでは?」といった不安を抱く方も少なくありません。華やかなイメージだけで移住を決めてしまうと、思わぬギャップに後悔する可能性もあります。
そこで本記事では、ドバイ移住を検討する方に向けて、メリット・デメリット、生活費や年収の目安、ビザ制度、不動産との関係性までを網羅的に解説します。ドバイ移住が自分にとって本当に最適な選択肢なのかを判断するために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
第1章|ドバイとはどんな国か?UAEの中心都市としての実像
ドバイは「国」として語られることが多いものの、正確にはアラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国のうちの一つです。UAEは、アブダビ、ドバイ、シャルジャなど7つの首長国から成り立つ連邦国家で、その中でもドバイは経済・観光・商業の中心的役割を担っています。政治の中心がアブダビであるのに対し、ドバイはUAEの“顔”ともいえる存在です。
UAE全体の主要産業は石油・天然ガスですが、ドバイは早くから脱石油依存を掲げ、商業、観光業、不動産、金融、IT分野へと産業構造を転換してきました。その結果、世界有数の国際都市へと成長し、現在では多国籍企業の中東拠点が集積しています。近未来的な高層ビル群や大規模な都市開発は、計画的な国家戦略の象徴ともいえるでしょう。
面積は約3,885平方キロメートル、人口は約350万人と決して大国ではありませんが、人口の約8〜9割が外国人居住者という極めて特徴的な都市です。出身国も欧米、アジア、中東、アフリカと多岐にわたり、日常生活では英語が事実上の共通語として使われています。
また、ドバイの平均年収は約1,100万円、外国人労働者でも約750万円とされ、日本の平均年収を大きく上回ります。高所得者が多く集まる一方で、税制は非常にシンプルかつ低負担であることから、「稼ぎやすく、手元にお金が残りやすい都市」として世界中から注目を集めているのです。
ドバイと日本の平均年収比較
| 項目 | ドバイ | 日本 |
|---|---|---|
| 平均年収(全体) | 約1,100万円 | 約460万円 |
| 外国人労働者の平均年収 | 約750万円 | ― |
| 税制 | 所得税・住民税なし | 所得税5〜45%+住民税約10% |
| 可処分所得の特徴 | 税負担がほぼなく手取りが多い | 税負担が大きく手取りが減少 |
| 高所得者の割合 | 非常に多い | 相対的に少ない |
※日本の平均年収は国税庁「民間給与実態統計調査」を参考
このように、額面年収だけでなく税引後の手取りベースで比較すると、ドバイと日本の差はさらに広がることが分かります。
第2章|ドバイ移住のメリット7選
ドバイが世界中の富裕層や起業家、専門職から移住先として選ばれているのには、明確な理由があります。単に「税金が安い国」というだけでなく、生活・安全・ビジネス・資産形成までを総合的に見て優位性が高い都市である点が、ドバイ最大の特徴です。
ここでは、ドバイ移住で得られる代表的なメリットを7つに分けて解説します。
① 税金が日本と比べて圧倒的に安い
ドバイ最大の魅力は、個人に対する所得税・住民税が実質ゼロである点です。日本では所得に応じて最大45%の所得税と約10%の住民税が課されますが、ドバイではこれらの税金が存在しません。
そのため、同じ年収であっても手元に残る可処分所得が大きく異なるのが実情です。
また、法人税も最大9%と非常に低く設定されており、事業利益を内部留保しやすい環境が整っています。特に高所得者や経営者にとっては、節税効果がそのまま生活の質や投資余力の向上につながります。
ドバイと日本の税制比較表
| 税目 | ドバイ(UAE) | 日本 |
|---|---|---|
| 所得税 | 0% | 5〜45%(累進課税) |
| 住民税 | 0% | 約10% |
| 法人税 | 0〜9% | 約15〜23.2% |
| 消費税 | 5% | 8〜10%(軽減税率あり) |
| 相続税 | 0% | 10〜55% |
| 贈与税 | 0% | 10〜55% |
| キャピタルゲイン税(不動産) | 0% | 原則20.315% |
| 税務申告の複雑さ | シンプル | 複雑 |
この表から分かる通り、ドバイは「稼ぐほど税制メリットが拡大する国」であり、特に高所得者や不動産投資家にとって非常に有利な環境といえます。
② 世界トップクラスの治安の良さ
ドバイは「中東=治安が不安」というイメージを覆す、世界屈指の安全な都市です。国際調査機関NUMBEOの安全指数では常に上位にランクインしており、夜間でも女性や子どもが安心して外出できるといわれています。
都市全体に設置された防犯カメラや、最新技術を導入した警察組織、犯罪に対する厳格な罰則制度が治安の良さを支えています。加えて、居住者の平均所得が高く、経済的困窮による犯罪が起こりにくい点も大きな要因です。
③ 外国人移住者が歓迎されやすい社会
ドバイは人口の約9割が外国人という、極めて国際色豊かな都市です。政府主導で外資誘致を進めてきた背景もあり、外国人が「よそ者」として扱われにくい社会構造が形成されています。
人種や国籍の多様性が日常風景となっているため、移住者同士のコミュニティも活発です。特に経営者や専門職、高所得層が多く、現地での人脈形成がビジネスチャンスにつながるケースも少なくありません。
④ 今後も経済成長が期待できる都市
ドバイは、長期的な国家戦略のもとで計画的に発展してきた都市です。石油依存から脱却し、現在は観光業、不動産業、小売業、金融、IT分野を中心に経済を拡大しています。
コロナ禍においても、迅速なワクチン接種と経済再開により、世界でもいち早く回復を遂げました。こうした柔軟かつスピーディな政策運営は、今後の成長余地を見込むうえで大きな安心材料といえるでしょう。
⑤ 世界各国へアクセスしやすい立地
ドバイは、アジア・ヨーロッパ・アフリカのほぼ中間に位置する国際的なハブ都市です。主要都市までのフライト時間は、ヨーロッパが約6〜7時間、アジアやアフリカが約3〜5時間と、世界各地への移動が非常にスムーズです。
海外出張や国際ビジネスが多い方、頻繁に旅行を楽しみたい方にとって、ドバイの地理的優位性は大きな魅力となります。
⑥ 教育水準が高く、選択肢が豊富
家族で移住する場合に重要となる教育面でも、ドバイは高い評価を受けています。多国籍社会に対応するため、インターナショナルスクールが200校以上存在し、英国式・米国式・IBなど多様なカリキュラムから選択可能です。
学校間の競争が激しいため教育水準が高く、将来の海外進学を視野に入れた教育環境を整えやすい点も、移住先として選ばれる理由の一つです。
⑦ 不動産が有力な資産になりやすい
ドバイの不動産市場は、経済成長と人口増加を背景に価格上昇が続いています。外国人でも不動産購入が可能で、キャピタルゲインが非課税という点は、資産形成の観点から大きな魅力です。
移住を目的に購入した不動産も、将来的には賃貸や売却によって資産として活用できます。仮に他国へ移住した場合でも、不動産を保有し続けることで収益源を確保できる可能性がある点は、ドバイならではのメリットといえるでしょう。
第3章|ドバイ移住のデメリット・注意点5選
ドバイ移住には多くの魅力がありますが、メリットだけを見て判断するのは危険です。実際に生活するとなると、日本とは大きく異なる環境やコスト構造に直面します。
ここでは、移住後に「思っていたのと違った」とならないために、事前に理解しておくべきデメリット・注意点を5つ解説します。
① 夏の暑さが非常に過酷
ドバイは砂漠性気候に属しており、5〜8月の夏季は平均気温40℃前後、体感温度が60℃近くになることもあります。屋外での活動は現実的ではなく、基本的に「外に出ない生活」が前提になります。
ほぼすべての建物にはエアコンが完備されているため屋内は快適ですが、暑さが苦手な方にとっては大きなストレスになり得ます。また、砂嵐や強風による砂埃で、洗濯物や車が汚れやすい点にも注意が必要です。
② 生活費、特に家賃が高い
ドバイ最大の現実的なデメリットは、生活費の高さです。特に家賃は年々上昇しており、都市中心部の1ベッドルームで月30万円前後が相場となっています。
外食費、通信費、酒類なども高額になりやすく、日本と同じ感覚で生活すると想定以上に支出が膨らみます。以下の物価比較表を見ると、東京との差が明確に分かります。
ドバイ vs 東京 物価比較(NUMBEO)
| 項目 | ドバイ | 東京 | ドバイ/東京比 |
|---|---|---|---|
| 安価なレストランの食事 | 約1,630円 | 約1,000円 | 163% |
| 一般的なレストラン(2人) | 約10,600円 | 約7,000円 | 151% |
| マクドナルドセット | 約1,430円 | 約800円 | 178% |
| 国産ビール(500ml) | 約1,830円 | 約500円 | 367% |
| カプチーノ | 約860円 | 約510円 | 168% |
| インターネット月額 | 約15,170円 | 約4,920円 | 308% |
| 携帯電話月額 | 約9,010円 | 約4,080円 | 221% |
| 都市中心部1LDK家賃 | 約337,000円 | 約170,000円 | 199% |
| 平均月給(手取り) | 約592,000円 | 約368,000円 | 161% |
※出典:NUMBEO(2025年)
③ 車がないと不便に感じやすい
ドバイは車社会で、都市設計も自動車移動を前提としています。公共交通機関は整備されているものの、日本の都市部ほど網羅的ではありません。
特に夏場は徒歩移動が現実的でないため、車を所有していないと生活の自由度が下がる可能性があります。タクシーは比較的安価ですが、日常的に利用するとコストが積み重なります。
④ 日本からの距離が遠い
日本からドバイまでは直行便で約12時間。運賃も往復で20万円前後と高額です。東南アジアや近隣アジア諸国と比べると、帰国や行き来のハードルは高いといえるでしょう。
頻繁に日本と行き来する必要がある方や、家族・親族との距離を重視する方は、この点を慎重に検討する必要があります。
⑤ 文化・宗教の違いによる制約
ドバイは比較的自由な都市ですが、イスラム圏特有のルールは存在します。公共の場での飲酒は禁止されており、酩酊状態での行動は罰則の対象となる場合があります。
また、ラマダン期間中の配慮や、女性の服装に対するマナーなど、日本では意識しない点に注意が必要です。現地文化を尊重する姿勢がなければ、トラブルにつながる可能性もあります。
第4章|移住前に知っておくべきドバイ現地事情
ドバイでの生活をスムーズにスタートさせるためには、事前に現地特有の制度や生活習慣を理解しておくことが重要です。日本と同じ感覚のまま移住すると、些細な違いがストレスにつながることもあります。
ここでは、移住前に必ず押さえておきたいドバイの現地事情を5つの視点から解説します。
① 言語|日常生活は英語でほぼ完結する
ドバイの公用語はアラビア語ですが、日常生活で使われるのはほぼ英語です。街中の看板、レストランのメニュー、公共交通機関の案内表示などは、アラビア語と英語が併記されています。
空港、ホテル、病院、役所、商業施設の多くで英語が通じるため、英会話ができれば生活に大きな支障はありません。一方で、日本語が通じる場面は限られているため、最低限の英語力は移住前に身につけておくことが望ましいでしょう。
② 医療・保険|公的保険はなく民間保険が必須
ドバイには日本のような国民皆保険制度がなく、医療費は原則自己負担となります。そのため、移住者は民間の医療保険への加入が必須です。
保険料はプランによって大きく異なり、年間数万円程度の最低限のものから、診察・入院・薬代まで幅広くカバーする高額プランまで選択肢があります。ドバイの医療水準自体は先進国並みで、英語対応の医師も多く、医療環境に大きな不安はありません。
③ 交通|タクシーと公共交通機関が充実
ドバイでは自動車移動が主流ですが、タクシーや公共交通機関も十分に整備されています。タクシー料金はガソリン価格が安いため比較的良心的で、短距離移動であれば日常的に利用できます。
公共交通機関を利用する際に必要となるのが「ノルカード(Nol Card)」です。ノルカードは日本のSuicaのようなICカードで、地下鉄・バス・トラムなどで共通して利用できます
ノルカード種類比較表
| 種類 | ゴールドカード | シルバーカード | レッドチケット |
|---|---|---|---|
| 購入価格 | 25AED(発行手数料6AED含む) | 25AED(発行手数料6AED含む) | 2AED |
| チャージ上限 | 1,000AED | 1,000AED | 10回分または10乗車分 |
| 有効期間 | 5年 | 5年 | 90日または10回 |
| 特徴 | ゴールドクラス利用可 | 標準クラス | 都度利用向け |
| おすすめ対象 | 快適さ重視の利用者 | 日常的に利用する居住者 | 短期滞在者・観光客 |
④ 生活インフラ|デリバリー文化が非常に発達
ドバイでは、暑さ対策の一環としてデリバリーサービスが日常生活に深く根付いています。飲食のデリバリーはもちろん、スーパーの商品、薬、化粧品、家電製品まで即日配送が可能なサービスも珍しくありません。
外出せずに生活を完結できる環境が整っているため、共働き世帯や子育て世帯にとっても利便性が高いといえるでしょう。
⑤ 宗教・文化|比較的寛容だが最低限の理解は必須
ドバイはイスラム教を国教とするUAEの一部ですが、外国人が多いため宗教色は比較的薄めです。アルコールや豚肉も特定の店舗や飲食店では購入・飲食が可能です。
ただし、公共の場での飲酒、ラマダン期間中の配慮、服装マナーなど、イスラム文化に基づくルールは尊重する必要があります。これらを理解して行動すれば、ドバイは非常に暮らしやすい都市といえるでしょう。
第5章|ドバイ移住で取得できるビザ一覧
ドバイに長期滞在・移住するためには、目的に応じたビザの取得が必須です。観光ビザだけでは就労や長期滞在は認められておらず、移住を前提とする場合は、収入源・投資額・家族構成などを踏まえて最適なビザを選ぶ必要があります。
ここでは、ドバイ移住で代表的に利用されているビザの種類と特徴を分かりやすく解説します。
就労ビザ|現地企業で働く人向け
就労ビザは、ドバイの現地法人や政府機関に雇用されることで取得できるビザです。有効期間は原則2年で、雇用主がスポンサーとなり申請手続きを行います。
現地採用や日本企業からの駐在員など、会社員としてドバイで働く人の基本的なビザといえるでしょう。
不動産ビザ|不動産購入による移住
ドバイでは、一定額以上の不動産を購入すると居住ビザを取得できます。不動産ビザは有効期間2年で、75万AED(約2,950万円)以上の不動産投資が条件です。
居住目的と資産形成を同時に実現できる点が特徴で、将来的な売却や賃貸も視野に入れられるため、投資家や富裕層から高い人気があります。
ゴールデンビザ|実質的な長期滞在ビザ
ゴールデンビザは、投資家・起業家・高度専門職などを対象とした長期滞在ビザで、有効期間は5年または10年です。
投資家の場合は200万AED(約7,850万円)以上の資本を保有していることが条件となり、更新の自由度が高く、実質的に永住権に近い位置づけとされています。
グリーンビザ|フリーランス・自営業向け
グリーンビザは、フリーランスや自営業者向けに新設されたビザで、有効期間は5年です。
年収36万AED(約1,400万円)以上が主な条件となっており、雇用主のスポンサーを必要としない点が大きな特徴です。独立して働く専門職にとって、非常に使い勝手の良いビザといえるでしょう。
リモートワークビザ|海外収入がある人向け
リモートワークビザは、UAE国外の企業やクライアントから収入を得ている人を対象とした1年更新型のビザです。
月収3,500米ドル(約50万円)以上が条件で、日本の企業に勤務したままドバイで生活することも可能です。
ファミリービザ|家族帯同での移住
ファミリービザは、上記いずれかのビザを保有する人が、配偶者や子どもを帯同するためのビザです。有効期間は原則2年で、追加費用が発生します。
家族で移住する場合は、主たるビザ取得者の収入条件を満たしていることが前提となります。
ビザ種類・期間・条件まとめ
| ビザ名称 | 有効期間 | 主な取得条件 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 就労ビザ | 原則2年 | 現地企業・政府機関での雇用 | 会社員・駐在員 |
| 不動産ビザ | 2年 | 75万AED以上の不動産購入 | 投資家・富裕層 |
| ゴールデンビザ | 5年 / 10年 | 200万AED以上の投資・高度専門職 | 長期滞在希望者 |
| グリーンビザ | 5年 | 年収36万AED以上のフリーランス | 自営業・専門職 |
| リモートワークビザ | 1年 | 月収3,500USD以上(国外収入) | 日本企業勤務者 |
| ファミリービザ | 原則2年 | 上記ビザ保有者の家族 | 家族移住 |
ドバイには無期限の永住権制度はありませんが、ビザの選択次第で長期かつ安定した滞在が可能です。
第6章|ドバイで働く日本人の仕事とライフスタイル
ドバイには世界中から多様な人材が集まっており、日本人も例外ではありません。UAE全体での在留日本人数は約4,500人とされ、その多くがドバイを生活拠点としています。かつては駐在員が中心でしたが、近年は働き方や価値観の変化に伴い、日本人の職業やライフスタイルも多様化しています。
日本人が多く就いている主な仕事
ドバイで働く日本人の職種は幅広く、大きく分けると以下のような傾向があります。
まず、日系企業や外資系企業に勤務する会社員・駐在員です。商社、金融、不動産、IT、観光関連などの分野で、日本本社からの出向や現地採用として働くケースが多く見られます。語学力や専門スキルを活かし、国際的なビジネス環境でキャリアを築いています。
次に、経営者・実業家の存在も目立ちます。ドバイの税制や法人設立のしやすさに魅力を感じ、現地で会社を設立する日本人も増えています。コンサルティング業、IT関連、飲食、美容、不動産関連など業種は多岐にわたります。
さらに、フリーランスや専門職として働く日本人も増加傾向にあります。ITエンジニア、デザイナー、マーケター、ライターなどは、グリーンビザやリモートワークビザを活用し、日本や海外のクライアントと仕事をしながらドバイで生活するスタイルが可能です。
ドバイでの働き方と収入の特徴
ドバイは成果主義・実力主義の文化が強く、年齢や年功よりもスキルや実績が評価されやすい環境です。給与水準は職種によって差がありますが、日本より高収入を得られるケースも少なくありません。
また、所得税がかからないため、同じ年収でも手取り額が大きくなる点は大きな魅力です。特に高収入層ほど、生活の自由度や将来への投資余力が高まりやすいといえるでしょう。
日本人のライフスタイルの実像
ドバイで暮らす日本人のライフスタイルは、「仕事と生活のバランスを重視する傾向」が強いのが特徴です。治安が良く、インフラが整っているため、平日は仕事に集中し、週末は家族や仲間とゆったり過ごすという生活が実現しやすい環境です。
また、多国籍なコミュニティに身を置くことで、価値観や人脈が広がり、人生そのものの選択肢が増えると感じる人も少なくありません。ドバイは単なる「働く場所」ではなく、ライフスタイルを再設計する都市として、日本人に選ばれつつあるのです。
第7章|ドバイで生活するための年収目安
ドバイ移住を検討するうえで、最も現実的かつ重要な判断材料となるのが「どれくらいの年収があれば生活できるのか」という点です。ドバイは高所得者が多い一方で、家賃や教育費などの固定費も高く、日本と同じ感覚で考えるとギャップが生じやすい都市です。
ここでは、単身者と家族世帯に分けて、ドバイで生活するための年収目安を解説します。
単身者の場合|最低ラインと快適ラインの違い
単身者であれば、切り詰めた生活を前提に年収400万円台から生活自体は可能です。ただし、この水準では選べる住居エリアが限られ、都市中心部の物件に住むのは難しくなります。家賃を抑えるために郊外物件を選ぶ、もしくはルームシェアを検討する必要があるでしょう。
年収400万円台の場合、生活の前提は以下のようになります。
- 住居は郊外、もしくはシェア
- 食事は基本的に自炊中心
- 移動は公共交通機関がメイン
一方で、年収550万円〜700万円程度あれば、生活の選択肢は大きく広がります。エリアをある程度選べるようになり、外食やタクシーの利用頻度も無理のない範囲に収まります。さらに、年収1,000万円前後あれば、ドバイでも「快適」といえる生活水準を維持しやすいでしょう。
家族世帯の場合|家賃と教育費が大きな分かれ目
家族でドバイに移住する場合、年収設計はより慎重に行う必要があります。最大の要因は住居費と教育費です。
一般的に、快適に暮らすためには1人あたり約25㎡の居住スペースが必要とされます。4人家族(夫婦+子ども2人)の場合、理想的な住居面積は約100㎡となり、都市部では家賃が月50万円前後になることも珍しくありません。
さらに、インターナショナルスクールの学費は、子ども1人あたり年間約200万円が目安です。子どもが2人いれば、教育費だけで年間約400万円が必要になります。
これらを踏まえると、家族移住では世帯年収1,500万円以上が現実的なラインと考えられます。
家族構成別 年収シミュレーション
| 家族構成 | 想定家賃(月) | 教育費(年) | 年間生活費目安 | 推奨世帯年収 |
|---|---|---|---|---|
| 単身 | 約20〜30万円 | ― | 約400〜500万円 | 550万円〜 |
| 夫婦2人 | 約30〜40万円 | ― | 約600〜700万円 | 800万円〜 |
| 3人家族(子1人) | 約40〜45万円 | 約200万円 | 約900〜1,100万円 | 1,200万円〜 |
| 4人家族(子2人) | 約50万円 | 約400万円 | 約1,200〜1,400万円 | 1,500万円〜 |
※住居エリアやライフスタイルにより大きく変動します
年収だけでなく「可処分所得」で考える重要性
ドバイでは所得税・住民税がかからないため、年収=ほぼ手取りという点が日本との大きな違いです。そのため、日本での年収感覚をそのまま当てはめるのではなく、可処分所得ベースで比較することが重要です。
日本で年収1,000万円の人が、税引後に残る金額と、ドバイで年収800万円の人が手にする金額が、ほぼ同水準になるケースもあります。表面的な年収額だけでなく、「どれだけ自由に使えるお金が残るか」を基準に判断すると、ドバイ移住の現実像がより明確になるでしょう。
第8章|ドバイ移住をおすすめできる人の特徴
ここまで、ドバイ移住のメリット・デメリット、現地事情、年収の目安までを解説してきました。これらを踏まえると、ドバイ移住は「誰にでも向いている選択肢」ではなく、特定の価値観や目的を持つ人にこそ高い効果を発揮する移住先であることが分かります。
ここでは、ドバイ移住を特におすすめできる人の特徴を3つの観点から整理します。
① 節税によって可処分所得を最大化したい人
ドバイ移住が最も大きなメリットをもたらすのは、高所得者層です。所得税・住民税が実質ゼロという税制は、収入が高くなるほど恩恵が大きくなります。
日本では、年収が上がるにつれて税率も上昇し、場合によっては収入の約半分が税金として差し引かれます。一方ドバイでは、同じ年収であっても税負担がほぼなく、「稼いだ分がそのまま手元に残る」構造になっています。
特に、年収1,000万円以上の層にとっては、ドバイ移住による節税効果が生活水準や投資余力に直結しやすく、合理的な選択肢といえるでしょう。
② 海外で法人設立・事業展開を考えている人
ドバイは、海外で事業を展開したい人にとって極めて魅力的な環境です。外国資本100%で設立可能な法人形態があり、税制面の優遇や手続きのシンプルさも評価されています。
コンサルティング業、ITサービス、サロン経営、不動産関連など、比較的スモールスタートが可能な業種との相性が良く、日本国内に比べて事業の自由度が高い点も特徴です。
また、法人税率が低いため、事業で得た利益を再投資や内部留保に回しやすく、成長スピードを加速させやすい環境が整っています。
③ 不動産投資を通じて資産形成をしたい人
ドバイ移住と不動産投資は、非常に相性が良い組み合わせです。ドバイでは外国人でも不動産購入が可能で、価格上昇によるキャピタルゲインが非課税となっています。
移住を目的に購入した不動産も、将来的には賃貸や売却によって収益化でき、仮に別の国へ移住した場合でも資産として保有し続けることが可能です。
居住・投資・節税を同時に考えたい人にとって、ドバイは極めて合理的な選択肢といえるでしょう。
まとめ|ドバイ移住は「誰にとって最適か」
ドバイ移住は、単なる海外移住やライフスタイルの変化ではなく、人生や資産形成の戦略を見直す選択といえます。所得税・住民税が実質ゼロという圧倒的な税制メリット、世界トップクラスの治安、計画的に成長を続ける経済環境は、世界中から人材と資本を引き寄せています。一方で、家賃や教育費をはじめとする生活コストの高さ、気候や文化の違いなど、誰にとっても快適とは限らない現実があるのも事実です。
そのため、ドバイ移住が真に価値を持つのは、節税によって可処分所得を高めたい高所得者や、海外で事業を展開したい経営者、そして不動産投資を通じて中長期的な資産形成を考える人です。明確な目的と十分な収入基盤があれば、ドバイは「住む場所」であると同時に、「資産を育てる拠点」となり得ます。逆に、コスト面や文化的適応への理解が不十分なまま移住を決断すると、理想と現実のギャップに戸惑う可能性もあります。
重要なのは、表面的なイメージや流行で判断するのではなく、自身の収入、家族構成、将来設計と照らし合わせて冷静に見極めることです。ドバイは準備と戦略次第で、人生の選択肢を大きく広げてくれる都市です。自分にとって何を優先すべきかを明確にしたうえで選ぶなら、ドバイ移住は非常に合理的で、将来性のある一手となるでしょう。
参考・出典
Asset Oceanが根本的に解決を目指す課題は、海外不動産投資のハードルを下げ、市場を活性化させることです。


